「ナニワ金融道」(絵柄と浪花臭に嫌煙するなかれ)お金を通じて人間の真理を描く哲学書【マンガソムリエ】

わい虎

「マンガソムリエ」のコーナー。今回もわい虎セレクト。

「ナニワ金融道」(絵柄と浪花臭に嫌煙するなかれ)お金を通じて人間の真理を描く哲学書

作品名:ナニワ金融道

作者:青木雄二

レビュー
読みやすさ
(1.5)
面白さ
(5.0)
マニアック度
(5.0)
スピード感
(3.0)
中毒性
(4.0)
総合評価
(4.0)

どんなお話しかというと

90年台に「モーニング」で連載された作品(完結済み)。「新ナニワ金融道」などがありますが、これは作者の青木雄二さんが亡くなった後にプロダクションが続編を描いたもの。
ドラマ化も有名でフジテレビでSMAPの中居くんが主演。

大阪、ナニワを舞台にマチ金(今ならプロミスやレイクなどが大手消費者金融などが有名だが、もっと中小企業)である「帝国金融」に就職した主人公・灰原達之の成長を描いた物語。

バブル前後の時代背景、登場人物や地名、背景の看板などが実に卑猥で茶化したような独特の世界観に、「お金」を巡るいくつものエピソードが構成されています。

例えば、地上げ屋で風俗ビルを建設しようとする「肉欲企画」の肉欲棒太郎。(彼は初登場回以外にもエピローグがあり男気や根性を見える個人的に好きな登場人物)

その他にも、夜逃げした先輩の借金の連帯保証人となり、自身の経営する運送業の資金繰りに窮して、恋人がソープに沈められるエピソードや、
蟻地獄物産が勧める先物取引で失敗し、多額の借金を抱え、生徒の修学旅行積立金も着服し、これがバレて解雇となる教頭先生のエピソードなど、
分かりやすく暗黒面にズルズルと引きづられていく人々の物語が描かれます。

個人的なハイライト

一番の見どころは「どんな銭でも、銭は銭」と語る主人公の先輩社員「桑田 澄男」の言葉通り、チャンスがあればケツの穴の毛までむしり取る商魂。その手法が痛快であること。
何より、これが決して違法ではないことが気持ち良い!

帝国金融の顧問弁護士「悪徳 栄」の協力のもと、どこまでも法の範囲内でビジネスを貫き通すクリーンさがあります。(倫理的なことは知りません。笑)
前述の桑田澄男(くわた ますみのパロディらしい。他にも元木やらがいる)の口癖が、

「最高裁判所の裁判長かて「そら払わなアカン!」ていいまっせ」であったり、
債務者の「そ そんな理不尽な 法律は強い者の味方なんですか!!」というセリフがあったりします。

ミナミの帝王萬田銀次郎の名言
「法律っちゅうんは弱いもんの味方やない。 知ってるもんの味方や」
と共通してますね。

「ナニワ金融道」をオススメする方

・ビジネス、経済系の話が好きな方

・ドロドロの人間模様を楽しめる方

・人生に迷いがある方(読後、ある種悟りに近いものを得られます)

「ナニワ金融道」をオススメしない方

・浪花臭が苦手な方

・画が汚いのが苦手な方

・卑猥な描写が苦手な方

 

以上、「ナニワ金融道」

絵柄と浪花臭に嫌煙するなかれ、お金を通じて人間の真理を描く哲学書

【マンガソムリエ】でした~😋

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